「キャリアも大切だけど、ライフプランも大切にしたい」「ワークライフバランスを重視して無理なく働きたい」そんな悩みを持つ女性医師も多いことでしょう。そこで今回は、女性医師のキャリアプランと働き方について詳しく紹介。女性医師に関わるさまざまなデータほか、女性医師が抱える悩み・キャリアプランの考え方・働き方の選択肢・働きやすい診療科について解説しました。
女性医師の割合
「令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(厚生労働省)によると、2020年末時点での日本の医師数は約32万3,700人で、女性医師の数は約7万3,822人となっています。
つまり、女性医師の割合は、全体の約23%となります。
まだまだ男性医師の割合が高いものの、女性医師数は年々増加傾向を示しており、2022年は2018年と比較して約5,500人の増加となりました。
女性医師の就業率
引用:厚生労働省|女性医師に関する現状と国における支援策について
日本の女性医師の就業率は、20代〜30代にかけて下がる傾向でした。これは、出産・子育てのために休職・退職することが主な理由です。
かつて、日本の女性の就業率を表にすると、M字カーブを描く形で「子育て期間中に一時的に就業から離れ、その後再び就業する」というパターンが示されていました。
しかし、女性の社会進出を支えるための制度やサポートが拡充してきたため、現在はM字カーブが比較的解消されています。なお、M字カーブの描き方には地域差がある点にもご留意ください。
女性医師の年収
「令和4年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によれば、女性医師の年収は平均約1,138万円でした。
「令和4年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)によれば、女性の給与所得者の平均年収は314万円で、その3倍近い年収を得ていることが分かります。
一方、男性医師の年収の平均は約1,514万円で、女性医師の年収は380万円ほど低い結果となっています。
女性医師が抱える悩み
女性医師は、キャリアを積む上で以下のような悩みに直面するケースも少なくありません。
- ワークライフバランスが取りづらい
- ライフプランが設計しにくい
- 勤務時間が長く体力的な負担が大きい
ワークライフバランスが取りづらい
「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」(日本医師会男女共同参画委員会・日本医師会女性医師支援センター)の女性医師の悩みの調査では、「プライベートな時間がない」との回答が2番目に多く見られました。
また、同報告書で子育ての最中の女性医師を対象に実施した、家庭・育児に関する悩みについては「家事・育児・介護と仕事の両立」をあげた方は90.6%にも上りました。
このように、ワークライフバランスが取りづらさは、女性医師の抱える大きな悩みの1つとなっています。
ライフプランが設計しにくい
「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」(日本医師会男女共同参画委員会・日本医師会女性医師支援センター)の女性医師の悩みの調査では、「キャリア形成・スキルアップ」の回答がトップとなりました。
この悩みは特に30代〜40代で多いため、妊娠・出産のタイミングなども含め、ライフプランやキャリアパスの設計に悩む時期であることが推察されます。
勤務時間が長く体力的な負担が大きい
「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」(日本医師会男女共同参画委員会・日本医師会女性医師支援センター)の女性医師の悩みの調査では、「業務量・体力面・評価等」に悩む方は、年齢を重ねるごとに増加する傾向でした。
具体的に「業務量・体力面・評価等」に悩む女性医師は、40代〜50代が最多となっています。
ただし、忙しい診療科・勤務時間が長くオンコール対応や当直がある診療科などは、若くても、体力的な負担に悩むケースがあると考えられます。
女性医師のキャリアプランの考え方
女性医師としてキャリアプランを考える際は、以下の2点を意識してください。
- 優先順位を決める
- ライフステージに合った働き方をする
優先順位を決める
女性医師が自身のキャリアプランを考えるとき、ライフイベントとキャリアにおいて何を優先するかを決めることが大切です。
具体的には「医師としてキャリアを優先したい」「専門性を高めたい」「出産や子育てなどもして自分らしく無理なく働きたい」など、さまざまなパターンが考えられます。
自身の価値観を明確にし、 優先順位を決めておくことで、 後々に後悔しないキャリアプランの設計が期待できます。
ライフステージに合った働き方をする
女性医師のキャリアプランでは、ライフステージに合った働き方を選択することも重要となります。
例えば、出産後の復職では時短勤務ほか、非常勤やスポットといった柔軟な働き方を選ぶという選択肢もあります。
また、年齢を重ねて体力的な厳しさを感じた場合などは、勤務体制や働く環境を変えることも検討するとよいでしょう。
女性医師の働き方の選択肢
女性医師の働き方には、以下のような選択肢があります。
働き方 | 概要 |
常勤 | 1日8時間で週5日以上勤務(週40時間以上勤務)する働き方 |
非常勤 | 常勤に当てはまらない働き方 |
アルバイト | 非常勤に該当する働き方。副業的な働き方を指すケースもある |
常勤
常勤とは、特定の医療機関でフルタイム勤務する働き方です。収入の安定と、着実にキャリアを積み上げられる点がメリットとなります。
一方、非常勤と比較して、勤務時間が長く、仕事と家庭の両立が難しいケースのある点がデメリットです。
ワークライフバランスを重視したい女性医師は、出産育児に関連する制度が充実する職場・オンコール対応や残業が少ない職場などを選択しましょう。
非常勤
非常勤とは、フルタイム未満の労働時間の働き方です。曜日・勤務時間が固定された求人であれば、キャリアも継続しつつ、 安定した収入も期待できる点が メリットとなります。
一方、常勤よりも福利厚生や手当が充実 していなかったり、昇給・賞与がなかったりするケースがある点はデメリットです。
仕事のオンオフは つけやすいため、家事と育児を両立したい・プライベートな時間をしっかり確保したいという方におすすめです。
アルバイト
アルバイトは非常勤の働き方の1つです。空き時間を利用して単発で働いたり、複数の職場を掛け持ちしたりすることも可能です。
職場の人間関係に悩むこともあまりなく、自分の働き方を構築し、短期間で多様な経験を積むことができる点はメリットといえるでしょう。
一方、スポット的な働き方の場合は、定期的に求人を探さなければなりません。人気の求人はすぐに打ち切られるため、良い求人を探すのに苦労する可能性がある点はデメリットです。
女性医師が働きやすい診療科
厚生労働省の「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業」を見ると、以下の5科は、女性医師の割合が高いです。
- 皮膚科
- 眼科
- 麻酔科
- 小児科
- 産婦人科
実際にこれらの診療科には、女性医師が働きやすい要素があるため、1つずつ確認していきましょう。
皮膚科
皮膚科は一般的に、外来診療が主で、手術が必要な場合でも大部分は日帰りです。診療時間が固定されたクリニックは、オンコール対応や到着などもありません。
加えて、自費診療をメインとする美容皮膚科であれば、 高収入も期待できます。
眼科
眼科は皮膚科と同じく、外来がメインで、手術が必要な場合も多くは日帰りです。
また、眼科は他の診療科と比較して勤務時間が短めの傾向です。
日本医師会男女共同参画委員会・日本医師会女性医師支援センターの「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」によれば、実勤務時間が週48時間以内に収まる割合で、眼科は2位(72%)でした。
麻酔科
麻酔科は、手術中の麻酔管理・疼痛管理がメインで、主治医となるケースはほぼありません。
また、近年では麻酔科医の拡充が進み、交代制のシフトで無理なく働ける環境が整備されていることから、オンオフが確保しやすいのも特徴です。
そのため心身にあまり負担をかけず、仕事とプライベートを両立した働き方が期待できます。
小児科
小児科は子どもの健康を見守ることがミッションの診療科です。
そのため、子どもが好きであれば 大きな達成感ややりがいを実感できる可能性があります。
女性医師の割合が高く、また付き添いの保護者も母親が多いため、 それも働きやすさにつながっている可能性が考えられます。
産婦人科
産婦人科は、妊娠・出産のみならず女性の生殖器系統の健康と病気、更年期障害、不妊治療など、広範な診断・治療に携わります。
女性のライブイベントに関わる診療科のため、やはり特別なやりがいや達成感を感じる方も少なくありません。
女性のライブイベントに関わる診療科という特徴から、女性医師の出産・育児に好意的な施設も多いと考えられます。
まとめ
女性医師は、ワークライフバランスが取りづらく、ライフプランが設計しにくい側面がある事は調査でも明らかになっています。
さらに、年齢を重ねることで、体力的な負担を感じる女性医師も増えてきます。
キャリアプランを考える際は、ご自身の中で優先順位を決める事はもちろん、働きやすい診療科を選ぶほか、ライフステージに合った働き方の実現も目指すとよいでしょう。
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