診療科の選択は、女性医師のキャリアやライフスタイルに大きな影響を与えます。特に、忙しさや体力的な負担を軽減したい方、ワークライフバランスを保ちたい方は「楽な科への転科」を検討してもよいでしょう。 今回は、女性医師の働き方におけるよくある悩み・女性医師におすすめの診療科・女性医師がワークライフバランスを保ちながら働く方法について解説します。
女性医師の働き方におけるよくある悩み
女性医師の働き方におけるよくある悩みには、以下のようなものが挙げられます。
- ワークライフバランスが取れない
- ライフプランを設計しにくい
- 勤務時間が長く体力的な負担が大きい
上記は性別に関係なく聞かれる悩みですが、男性医師とは異なる事情が関係するケースもあるので、詳しく見ていきましょう。
ワークライフバランスが取れない
ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスを意味します。
ワークライフバランスがうまく取れないと、仕事と生活のバランスが崩れ、心身のストレスや不満を高める原因となる可能性があります。
具体的には「家事や家族との時間がない」「子どもの成長に寄り添う充分な時間が取れない」「子どもの学校行事などに参加できない」「夜勤や当直などの不規則な勤務形態によって睡眠不足や疲労が取れない」などが挙げられます。
ライフプランを設計しにくい
ライフプランとは、人生における目標や計画を意味します。医師という職業は、長い勉強期間や研修期間が必要なため、ライフプランが設計しにくいと感じる方も少なくありません。
具体的に、医師は大学に通う期間が6年間あるほか、最低2年の臨床研修、専門医研修プログラムなどを受けるため、医師のキャリアのスタートは30歳前後となります。
そのため、特に結婚や出産のタイミングを見極めることが困難な場合があります。
勤務時間が長く体力的な負担が大きい
医師の若手時代は、勤務時間が長く、体力的な負担が大きくなるケースも珍しくありません。患者の健康や命に関わる重大な責任が伴うため、精神的なプレッシャーや緊張感が高い場合もあります。
特に、夜勤・当直・オンコール対応が必要な場合は、一層体力的な負担が大きくなる可能性があります。
なお、医師の体力的な負担については、担当する診療科によって大きく左右されるケースがあります。
女性医師が忙しくない、楽な科はある?
忙しさにはさまざまな尺度があり、ひとまとめにすることは難しいですが「女性医師が多く、比較的忙しくないとされる診療科」はあります。
「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業」(厚生労働省)によると「皮膚科、眼科、麻酔科、小児科、産婦人科」の順で、女性医師の割合が高くなっています。
これらの診療科には、女性医師にとって働きやすい要素があるため「比較的忙しくない診療科を選びたい」という女性医師におすすめです。
関連記事:医師が忙しくない科はある?楽な診療科は何科?年収との関係性も解説
女性医師におすすめの診療科5選
ここでは、女性医師にとって比較的働きやすいと考えられる、以下5つの診療科についてご紹介します。
- 皮膚科
- 眼科
- 麻酔科
- 小児科
- 産婦人科
ワークライフバランスを保ちつつ働きたいと考える女性医師は、ぜひ参考にしてください。
皮膚科
「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業」(厚生労働省)によると皮膚科は、女性医師の割合が46.1%と最も高い診療科です。
皮膚科の働き方は、外来診療が中心で、手術や緊急対応が少ないという特徴があります。夜勤・当直がないケースも多いため、ワークライフバランスを保ちながら働きやすい診療科と言えるでしょう。
働きやすさと引き換えに、皮膚科医の年収は低い傾向ですが、 美容皮膚科を選択すれば、高収入も期待できます。
眼科
眼科の働き方は、手術などはあるものの白内障や緑内障などの比較的短時間で終わるものが多いです。
また、基本的にオンコール対応などもなく、体力的に負担が少ない特徴があります。
「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」(日本医師会男女共同参画委員会/日本医師会女性医師支援センター)によれば、1週間の実勤務時間が週48時間以内に収まっている割合が、眼科は2位(72%)という結果になっており、無理のない働き方が期待できます。
麻酔科
麻酔科の働き方は、手術室や集中治療室などで麻酔や疼痛管理などを実施します。患者との接触時間も限定的で、基本的に主治医とはならないため、精神的なストレスが少なめです。
なお、麻酔科医は、慢性的に麻酔科医が不足し、需要が高いことからフリーランス向きでもあります。フリーランスになれば、勤務時間のより自由なコントロールも期待できます。
小児科
小児科の働き方は、外来診療が中心で、予防接種や健診なども実施します。
子どもの成長や発達を見守ることができる環境のため、子どもが好きな方にとっては、特別なやりがいや達成感を感じることができます。
また、子育て経験がある女性医師は、保護者の気持ちにも理解があるため、コミュニケーションがスムーズに取りやすく、働きやすさを感じるケースもあるでしょう。
産婦人科
産婦人科の働き方は、女性の妊娠・出産・産後に関わり、婦人科の疾患を診断・治療します。女性の患者が診ることになるため、女性医師のニーズが高く、働きやすさを感じやすい環境といえるでしょう。
また、女性医師の出産・育児に肯定的な医療機関も多いと考えられます。
さらにワークライフバランスを重視したい方は、オンコール・当直・残業などがない不妊治療専門クリニックや、婦人科クリニックを選ぶとよいでしょう。
女性医師がワークライフバランスを保ちながら働く方法
ワークライフバランスを保ちながら働くには、診療科の選択だけでなく、働き方そのものにも注目するとよいでしょう。女性医師がワークライフバランスを保ちながら働く方法には、主に以下の3つがあります。
- 転職をする
- 働き方を変える
- 転科する
それぞれの方法で難易度やメリット・デメリットが異なりますので、詳しく見ていきましょう。
転職をする
医師には、病院以外にも勤務先が豊富にあります。
一例としては産業医、公衆衛生医、老健施設、保険会社、官公庁、研究施設などです。この他、メディカルドクターとして新薬開発に携わったり、医療書籍やWeb記事の監修をしたり、オンライン診療で働く方法もあります。
勤務時間がしっかり決まっていたり、緊急性の高い手術・診察などがないため、プライベートの時間が確保しやすくなったり、働きやすさの向上が期待できるでしょう。
ただし、病院勤務と比較して働き方が大きく変わるケースがある点には留意ください。
働き方を変える
医師は、正規雇用以外にも、アルバイト・非常勤・フリーランスなど非正規雇用の働き方も可能です。このような働き方では、ほぼ時間外労働などもありません。例えば子育てなどをしながらでも、無理なく働くことが期待できます。
なお、正規雇用のまま時短勤務が可能なケースもあるため、非正規雇用に抵抗がある方は、勤務する職場に相談すると良いでしょう。
自らの専門性を生かして働ける反面、 雇用や収入が不安定になる可能性がある点には留意ください。
転科する
心身の負担が大きい・ 労働時間が長い診療科で働いている場合、転科によって解決できる可能性があります。「外来診療中心で手術が少ない科」「オンコールや当直があまり発生しない科」などを選ぶことで、働きやすさの実感が期待できます。
ただし、自分の専門とは無関係の診療科に移る場合、新しい知識や技術を身につけることが必要で、かえって負担が増すリスクもゼロではありません。
また、転科先の職場環境や人間関係が合わないリスクがある点にも留意ください。
まとめ
女性医師はキャリアを重ねる上で、ワークライフバランス・ライフプラン・体力的な負担などの課題に直面する可能性があります。 その際は、ご自身に合った働き方や診療科にシフトすることも検討するとよいでしょう。
なお、転職やアルバイト・フリーランスでの働き方を成功させるためには、求人選びが極めて重要です。ご自身では探せる情報に限界があるため、医療向けエージェントなどのプロに頼むことが最善策です。
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