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2023年 9月 の投稿一覧

精神科医の年収は?年齢や勤務地別の年収や働き方を解説

精神科医としての働き方はさまざまです。また、働き方や資格の有無によって、平均年収も異なるでしょう。本記事では、精神科医の平均年収や働き方、年収アップするための方法について解説します。

精神科医としてさらなるキャリアアップを図りたい方や、転職やアルバイトなどをして年収アップを実現させたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

精神科医の平均年収

労働政策研究・研修機構が行った「勤務医の就労実態と意識における調査」によると、精神科医の平均年収は1,230万円です。13の診療科の平均年収の中央値は1,261万円であるため、やや低い平均年収といえます。

平均年収
1,230万円

精神科医は年収の格差が激しいといわれており、その理由としては総合病院などの大きな病院に勤めているか否かによって年収が変わってくる点が挙げられます。

参考:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

【年齢別】精神科医の平均年収

リクルートドクターズキャリアによると、精神科医の年齢別の平均年収は以下の通りです。

年齢 年収
20〜29歳 600〜1,000万円
30〜39歳 1,000〜1,400万円
40〜49歳 1,400〜2,000万円
50〜59歳 1,400〜2,000万円
60〜69歳 1,000〜1,400万円

精神科医の平均年収は、年代が上がるにつれて上がっています。

20代は研修医期間でもあるので、どの診療科においても年収は低くなります。30代以上になると医局に入局するなど、キャリアを構築し始める時期になるため、年収も上がりやすい傾向にあります。40~50代になると役職に就く医師が増えたり開業医になったりする医師も増えるため、20~30代に比べると年収が1,000万近く変動します。

参考:リクルートドクターズキャリア「精神科の年収事情」

【勤務地別】精神科医の平均年収

リクルートドクターズキャリアによると、地域ごとに見た精神科医の平均年収の割合は、以下の通りです。

600万円未満 600万円~1,000万円未満 1,000万円~1,400万円未満 1,400万円~2,000万円未満 2,000万円以上
北海道・東北 0% 0% 33% 33% 33%
関東 0% 46% 23% 31% 0%
中部 0% 0% 33% 44% 22%
関西 0% 11% 22% 67% 0%
中国・四国 20% 20% 0% 40% 20%
九州・沖縄 0% 0% 31% 54% 15%

都心を含む関東の場合、年収600〜1,000万円の精神科医が46%おり、1,400〜2,000万円の精神科医は、31%です。一方で、中部・中国・四国・九州・沖縄の場合、1,400〜2,000万円の精神科医が40%以上います。このように、都心と地方で平均年収が異なる理由は、需要と供給のバランスが関係しています。

都心の場合、患者数が多い分、医師の数が地方よりも多いため、給与が抑えられる傾向があるでしょう。一方で、地方の場合は、医師の数が足りない地域が多く、病院側が必要な医師を確保するため、給与を上げる傾向があります。その結果、地方のほうが年収は高くなりやすいです。

参考:リクルートドクターズキャリア「精神科の年収事情」

他の診療科と比べて精神科医の年収は高い?

労働政策研究・研修機構の調査では、精神科医の平均年収は他の診療科と比べると、上から8番目になっています。そのため、精神科医の平均年収は、他の診療科に比べて比較的低いといえるでしょう。

診療科 年収
脳神経外科 1,480万円
産科・婦人科 1,466万円
外科 1,374万円
麻酔科 1,335万円
整形外科 1,289万円
呼吸器科・消化器科・循環器科 1,267万円
内科 1,247万円
精神科 1,230万円
小児科 1,220万円
救急科 1,215万円
その他 1,171万円
放射線科 1,103万円
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 1,078万円

精神科医の年収が他の診療科に比べて比較的低い理由は、緊急を要する治療や手術などがないためです。例えば、平均年収が最も高い脳神経外科の場合、脳卒中やくも膜下出血といった緊急を要する治療や手術が必要になることも多々あります。高度な技術が必要になるだけではなく、昼夜を問わず緊急対応を行う必要があるため、給与水準は高くなるでしょう。

また、オンコールの日数や当直の日数など、診療科によって異なるため、平均年収にばらつきがあるといえます。

参考:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

精神科はきつい?精神科医の働き方

精神科がきついかどうかは「どこで働くか」によって異なります。以降で施設ごとの精神科医の働き方を解説します。

  メリット デメリット
総合病院・専門病院
  • 比較的年収が高い傾向にある
  • 多様な疾患をもつ患者の対応にあたるので、スキルアップにつながる
  • 外来のみではなく、入院患者の対応もあるため、多忙になりやすい
  • 時間外労働や日当直も発生しやすい
メンタルクリニック
  • オンコールや時間外労働、日当直がほぼないため、ワークライフバランスがとりやすい
  • 総合病院・専門病院よりは平均年収が低い傾向
  • 入院施設を持たないため、キャリアアップのチャンスが少ない可能性がある
公的機関
  • 福利厚生が充実しており、土日祝日の休みが確保されているため、ワークライフバランスがとりやすい
  • 平均年収が比較的低い
  • 臨床では必要とされない法律などの知識の勉強が必要になる場合がある
産業医
  • 診察や治療を行わないため、比較的業務量は少ない
  • 専門資格の取得が必須
  • 均年収が比較的低い

診察や治療の機会が少ない場合、業務量が抑えられるため、平均年収は下がる傾向になります。一方で、診察や治療のほか、時間外労働やオンコール、日当直が発生すると、平均年収は上がるでしょう。

総合病院・専門病院

精神科を持つ総合病院や専門病院の場合、精神科医は入院患者や外来患者の診療・管理を行うため、比較的業務量が多くなる可能性があります。特に、総合病院の場合、せん妄や睡眠障害などがみられる他の診療科の患者の診療に追われることもあり、日当直や時間外勤務などの業務も行わなければなりません。

場合によっては、緊急入院の患者対応に追われることもあります。大きな病院になるほど、他の診療科と同じように業務が多岐にわたりますが、その分さまざまなスキルを養える現場であるともいえます。

メンタルクリニック

メンタルクリニックでは、入院施設を持たず、外来診療や訪問診療をメインに行います。オンコールや時間外勤務、日当直などはほぼ発生しないため、ワークライフバランスがとりやすいといえるでしょう。認知症を専門的に扱うクリックなら、介護施設なども訪問することがあります。

また、メンタルクリックは内科や外科のように、大型の医療機器などを導入する必要がないため、開業するなら維持費や初期費用を抑えやすいのが特徴です。そのため、収益性が比較的高く、平均年収も高い水準であるとされています。

公的機関

公的機関としては、自治体の精神保健福祉センターが含まれます。公的機関の精神科医の場合、精神保健相談だけでなく、福祉領域の業務にも携わります。土日祝日の休みが確保されており、福利厚生が充実しているのが特徴です。

また、時間外労働が少ないため、ワークライフバランスがとりやすいでしょう。しかし、臨床とはあまり関係のない福祉に関係ある法律を勉強する必要があるため、他の医師よりも自己研鑽が必要になります。

産業医

産業医の場合、担当する企業に勤める労働者に対する対応やストレスチェック、保健指導や面談の実施などの業務を行います。精神科医と異なり、診察や治療を行わないため、比較的業務量は少ないといえます。

ただし、産業医になるためには、医師免許の他に産業医資格を取得する必要があります。資格取得にはいくつかの方法がありますが、日本医師会や産業医大学の講座を受講することで、資格を取得できます。

医師免許だけでは勤務できないため、別で勉強時間を取らなければならないのがデメリットといえるでしょう。

精神科医が年収を上げるには

精神科医が年収を上げるには、以下3つの方法があります。

  • 資格を取得する
  • アルバイトをする
  • 転職をする

たとえば、精神保健指定の資格を取得しておくと、その資格を必須条件として採用している病院で勤務できます。また、非常勤勤務医として週1回程度アルバイトをすることで、年収を上げることができます。現在勤めている病院の給与面が理想と異なる場合は、より良い給与の病院に転職することで、年収アップが期待できます。

それぞれの特徴を詳しく紹介します。

資格を取得する

資格を取得することで、専門性がアピールでき、年収アップにつながるケースがあります。精神科医が取得できる主な資格は、以下の通りです。

資格 概要
精神科専門医 医師として5年以上の臨床経験を有し、うち3年以上の精神科臨床経験を有する医師が認定試験に合格することで得られる民間資格
精神保健指定医 5年以上の診断または治療に従事し、うち3年以上精神生涯の診断または治療に従事した経験を持つ医師が取得できる。厚生労働省が定めている資格

精神保健指定医は、精神科医療において、応急入院や措置入院、医療保護入院などの矯正入院の措置をとるために必要な資格です。精神保健指定医の資格を有する医師を採用条件に設定している精神科の医療機関もあります。そのため、転職時に有利になり、良い報酬の医療機関を選びやすくなるでしょう。

アルバイトをする

非常勤勤務医として病院の病棟や一般外来でアルバイトをすることで、その分年収を上げられます。時給としては約1万円が相場といわれているので、週1日(8時間)のアルバイトを月4日行うことで、月収32万円プラスできることになります。年間で約384万円の収入アップが見込めるでしょう。

しかし、個人でアルバイト先を見つけるのは難しいため、求人サイトを利用し、情報収集することが大切です。

転職をする

地方の精神科病院や高度な症例を扱っている病院などに転職することで、年収アップが期待できます。特に、精神科医として豊富な臨床経験を積んでいる医師や、精神保健指定医の資格を持っている医師の場合、より年収アップが図れるでしょう。

とはいえ、日々の業務に追われながら転職先を探すのは難しいといえます。そこで、おすすめなのは転職エージェントを利用することです。経験豊富なキャリアコンサルタントに相談することで、自身の要望に合った転職先が見つけやすくなります。

まとめ

精神科医の平均年収は、1,230万円です。医師全体の年収の中央値は1,261万円であるため、やや低い給与水準といえるでしょう。また、精神科医の業務がきついかどうかは、働く環境によります。外来診療や日当直、時間外勤務などが多い総合病院などの場合、業務量が多い傾向です。一方で、外来診療や日当直、時間外勤務が少ない産業医や公的機関、クリニックの場合は、業務量が比較的少ないのが特徴です。

精神科医が年収を上げるには、資格の取得やアルバイト、転職をすることで年収を上げられるでしょう。資格を持っておくことで、アルバイトや転職時に有利になるかもしれません。たとえば、精神保健指定医は、精神科医療において、応急入院や措置入院、医療保護入院などの矯正入院の措置をとるために必要な資格です。転職市場では、この資格を必須としている求人もあるため、保有しておくことで、アルバイトや転職時に活用できるでしょう。

しかし、資格を持っていたとしても、転職の仕方がわからなかったり、転職先・アルバイト先がなかなか見つからなかったりする方もいるでしょう。そもそも、転職をすることがベストなのか、それとも精神科医としてキャリアアップを目指すべきなのか、悩む方もいるかもしれません。そんな方におすすめなのが「メディカルジョブ」です。

メディカルジョブでは、豊富な転職先・アルバイト先の中から転職希望者の希望に沿った選択肢を提案できます。また、転職先・アルバイト先への同行や勤務後のフォローを徹底して行うため、転職やアルバイトに慣れていない医師でも利用しやすいでしょう。転職やアルバイトでお困りの方は、ぜひメディカルジョブを活用してみてください。

フリーランスの医師とは?常勤医師との違い、年収やメリット・デメリットも解説

近年、常勤医からフリーランスの医師へ転向する働き方が注目されています。しかし、フリーランスの医師としての働き方やメリット・デメリットがわからず、一歩踏み出せない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、フリーランスの医師の実態について解説します。今後、フリーランスの医師に転向を考えている方や、フリーランスとしての働き方に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

フリーランスの医師とは

フリーランスの医師とは、特定の医療機関に属さず、非常勤・スポットでのみ生計を立てる医師のことです。常勤医師の場合、特定の病院やクリニックと雇用契約を結び、雇用主が定めた勤務時間の通り働かなければなりません。一方で、フリーランスの医師の場合は「週2日」「1日4時間」のように自分で働き方を決め、定期非常勤・スポットで勤務できます。

そのため、自分のスケジュールや都合に合わせて働くことができます。家事や育児などで多忙な方の場合は、働く時間を限定できるため、メリットがあるでしょう。また、より多くの収入を得たいと考える方の場合は、労働時間を多くすることで、収入アップが期待できます。

フリーランスの医師の働き方

フリーランスの医師の働き方は、主に以下2つに分けられます。

働き方 概要
定期非常勤 半年〜年単位で契約し、勤務時間や勤務日をある程度固定させて仕事できる
スポット 1日・数時間単位で契約し、単発で仕事できる

いずれも、自由な働き方を実現できるひとつの手段になるでしょう。

定期非常勤

定期非常勤とは「週に4日」「1日6時間」のように、勤務時間や勤務日をある程度固定させて働く方法です。半年〜年単位で仕事が得られるため、その間比較的安定した収入が得られるでしょう。

定期非常勤の場合、基本的に時間外勤務やオンコールがありません。そのため、家事や育児、介護などの時間を確保したい医師や、自由な時間を確保したい医師などに利用されています。

スポット

スポットとは、アルバイトのことであり、単発で仕事を請け負う働き方です。「1日だけ」「数時間だけ」といった形で病院と単発契約を結び、勤務します。常勤医師が病気や学会、休暇などを理由に不在になった際、その穴を埋めるために勤務することが多いでしょう。

突発的なニーズに対し、実力のある医師が求められるため、時給が高めに設定されている傾向です。そのため、働き方によっては収入アップが図れる可能性があるでしょう。

特に、年末年始や夏季休暇などの時期はスポットのニーズが高まります。一方で、時期によっては仕事が少ない場合もあるため、収入面で安定性に欠けることもあるのがスポット勤務の特徴です。

フリーランスの医師の年収

フリーランスの医師の年収を計算するために、時給1万円で、常勤医と同程度の労働時間(1日8時間・週5日)で勤務することを仮定します。この場合、月収は8時間×5日×4週で160万円です。この条件で年収を計算すると、160万×12ヶ月で1,920万円となります。

厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、常勤医の平均年収は1,161万円であるため、比較すると、フリーランスの医師の方が年収が高いといえるでしょう。

勤務形態 平均年収
常勤医 1,161万円
フリーランス医師 1,920万円

しかし、この金額はあくまでも目安です。週5日働いた場合は、勤務医よりも年収アップが狙えるかもしれませんが、週の労働時間を減らした場合や仕事が減った場合などを考えると、必ずしも勤務医より年収が高いとはいえないでしょう。

参照:厚生労働省|平成30年賃金構造基本統計調査

フリーランスの医師として働くメリット

フリーランスの医師として働くメリットは、以下の通りです。

  • 時間の融通が効く
  • 常勤より収入が高くなることがある
  • 人脈を広げられる
  • 人間関係の気疲れが少ない

自分の都合やスケジュールに合わせて働き方を柔軟に変えられるため、ワークライフバランスがとりやすくなります。また、仕事をする上で相性が合わない方がいても、長期間ともに働くことが少ないため、人間関係の気疲れも少なくなるでしょう。収入面でも常勤医より高い傾向にあり、キャリアアップの過程で必要な人脈も手に入りやすいのが特徴です。

それぞれのメリットを詳しく解説していきます。

時間の融通が利く

フリーランスの医師の場合、自分の都合やスケジュールに合わせて働き方が変えられるため、時間の融通が利きやすいといえます。

勤務時間や勤務日数を柔軟に変えられるため、ワークライフバランスがとりやすいでしょう。育児や家事、介護などの理由で長時間の労働が難しい方であっても働きやすい雇用形態です。

常勤より収入が高くなることがある

フリーランスの医師の収入は、常勤医よりも高いとされています。定期非常勤やスポットの時給は、常勤医よりも高い傾向にあるため、働き方次第で常勤医より多くの収入が得られるでしょう。

特に、定期非常勤とスポットを掛け合わせ、コンスタントに仕事ができるように工夫できれば、さらなる収入アップが期待できます。

人脈を広げられる

フリーランスの医師は、さまざまな勤務先で働く機会が多いため、人脈を広げやすいといえます。医師同士のつながりだけでなく、看護師や検査技師などのコメディカルスタッフとのつながりも増えるでしょう。

人脈が広がることで、将来的に開業医として独立したり、医療関連のビジネスで起業したりする場面で役に立つこともあります。

人間関係の気疲れが少ない

フリーランスの医師は、働く場所や時間を自由に決められます。そのため、もし仕事で相性が合わない方がいても、長期間一緒に働くことが少ないほか、自分の裁量で勤務先を変えることができるため、人間関係の煩わしさを減らすことができるでしょう。人間関係の気疲れを少なくしたい方にとって適した働き方といえます。

フリーランスの医師として働くデメリット

フリーランスの医師として働くデメリットは、以下の通りです。

  • 安定性が低い
  • 福利厚生や手当が少ない
  • 事務作業が増える
  • 個人の責任・負担が大きい

フリーランスの仕事は定期的に依頼が入ってくるわけではないため、安定性に欠けます。また、福利厚生や手当が少なく、もし病気などで体調を崩して働けなくなった場合、補償が受けられません。確定申告などの事務作業の手間が増える点もデメリットといえるでしょう。

安定性が低い

フリーランスの医師は、仕事の依頼が定期的に入ってくるとは限りません。定期非常勤として勤務していても、勤務先の都合で仕事がストップすることもあるでしょう。そのため、安定性が低い働き方といえます。

安定した収入を得るためには、3ヵ月先、半年先、一年先を見越して常に仕事がある状態をキープしておく必要があります。そのためには営業活動やスキルの研鑽に励むことも重要といえるでしょう。

また、定期非常勤に加え、スポットで勤務する件数を増やしていくことで、収入を確保できる可能性もあります。

福利厚生や手当が少ない

フリーランスの医師の場合、福利厚生や手当が少ないです。たとえば、病気などで働けなくなった場合、休業手当などの補償を受けられません。そのため、何かあった際には収入が途絶えてしまう可能性が高いでしょう。

国民健康保険に加入するほか、前職で勤務先の社会保険に加入していた場合は任意継続保険に入る、医師国保や民間保険に加入するなど、働けなくなった場合のリスクヘッジをしておくことが大切です。

事務作業が増える

フリーランスの医師である以上、確定申告や保険料の支払いなど、さまざまな事務作業が発生します。常勤医師の場合は、勤務先が代行してくれますが、フリーランスの医師の場合は、自分で対応しなければなりません。そのため、作業内容や作業量によっては多くの時間をとられてしまうでしょう。

対策としては、税理士に事務作業を委託すると、作業の手間と時間を減らすことができます。ただし、税理士への依頼報酬がかかってしまう点はデメリットになります。

個人の責任・負担が大きい

フリーランスの医師は、個人事業主という立場であるため、全ての責任を自分で負わなければなりません。たとえば、保険料の支払いや納税など、自分で管理し、事業主として支払い漏れ、納税漏れがないようにしなければなりません。また、自己研鑽のためにかかる費用も自己負担となるため、金銭的負担がかかりやすくなります。ほかにも、万が一医療事故が発生した場合、責任は自分にのしかかります。

医師の業務においては、重責は誰しも同じではありますが、それ以外にもフリーランス医師には事務作業などにかかわる時間的・金銭的コストの負担があることも覚えておきましょう。

フリーランスの医師に必要なスキル

フリーランスに限らず、医師にはコミュニケーションスキルが必要です。医師は、患者との関わりだけでなく、看護師や薬剤師、理学療法士や臨床工学技士などの多くのスタッフと関わり合いながら勤務しなければなりません。患者に対し、適切な治療を行うためにも、医師がリーダーシップを発揮し、スタッフと連携していくことが大切です。

その際に求められるのが、コミュニケーションスキルです。患者に適切な医療を提供するために、治療方法などをスタッフ間で話し合う必要があります。

また、フリーランスの医師は、患者や病院スタッフ以外の人ともかかわるケースが多いです。人事・総務のスタッフや、税務を依頼する税理士、スケジュール・タスク管理を依頼するサポートスタッフなど、仕事の幅にもよりますが、常勤医師以上にコミュニケーション能力が必要になると覚えておきましょう。

フリーランスの医師と常勤医師はどちらがいい?

フリーランスの医師と常勤医師のどちらが働きやすいかは、自分が何を重視するかで異なります。フリーランスの医師をおすすめする人、常勤医師をおすすめする人の特徴は以下の通りです。

フリーランスがおすすめの人 常勤医師がおすすめの人
  • より多くの収入を望む人
  • 人間関係で疲弊したくない人
  • 自由な働き方をしたい人
  • 収入を安定させたい人
  • 福利厚生が整っている環境で働きたい人

収入の安定さを求めるなら、勤務医がおすすめです。しかし、ワークライフバランスや、自由な時間を確保したい場合はフリーランス医師が向いているといえるでしょう。

目先のキャリアだけではなく、長期的なキャリア形成を考えたうえで働き方を検討すれば失敗を防げます。

フリーランスの医師として働くには?

フリーランスの医師として働くには、勤務医として働きながら仕事探しをなければなりません。しかし、仕事がなかなか見つからなかったり、求人を探す時間がなかったりすることもあるでしょう。そこでおすすめなのが、転職エージェントです。転職エージェントを利用することで、プロからアドバイスがもらえるため、多くの情報が得られやすくなります。

また、エージェントによって転職先との条件交渉をしてもらえるため、時間と手間をかけずに転職活動がしやすくなるでしょう。ただし、エージェントの腕によって結果が変わる可能性があるので、相性のよいエージェントを見つけるようにしましょう。

まとめ

フリーランスの医師とは、特定の医療機関に属さず、定期非常勤やスポットでのみ生計を立てる医師のことを指します。定期非常勤・スポットのいずれにおいても、勤務時間や勤務日をある程度固定した状態で働けます。そのため、ワークライフバランスがとりやすいでしょう。また、収入面においても、常勤医より定期非常勤・スポットのほうが比較的報酬が高い傾向です。

一方で、安定的に稼げるとはいえないのがデメリットのひとつです。また、福利厚生や手当が少なく、確定申告などの事務作業が増える点も難点です。

上記のような、フリーランスのメリット・デメリットの両方を考えても、より高い報酬を得たい方や、自由な働き方をしていきたい方にとっては向いているでしょう。しかし、収入を安定させたい方や、福利厚生のある環境で働きたいと考える方にとっては適さない場合があります。

とはいえ、自分がフリーランスの医師に適しているか、判断が難しい方もいるかもしれません。そんな方は「メディカルジョブ」を利用してみてはいかがでしょうか。

メディカルジョブは、転職希望者のニーズをしっかりヒアリングした上で希望の転職先・アルバイト先を提案するサービスです。転職するか迷っている方は、転職エージェントにご相談いただくことで、さまざまなアドバイスが受けられます。その結果、今後の方向性が定まるきっかけになるかもしれません。今後のキャリア設計や転職でお困りの方は、ぜひメディカルジョブを活用してみてください。

【医師の転職方法】失敗しないポイントを詳しく解説

近年では、転職を考える医師の数が増えています。一方で、「転職を考えているけど、失敗しないか不安でなかなか踏み出せない」と考える医師も多いかもしれません。本記事では、医師の転職時に失敗しないポイントについて解説します。

転職に向けて必要なことを把握した上で計画的に行動し、自分の理想に合った転職先を見つけましょう。

【医師の転職方法】失敗しないポイントは?

まずは、医師が転職時に失敗しないためのポイントを紹介します。転職を成功させるためには、以下7つのポイントを押さえておくことが大切です。

  1. 今後のキャリアプランを考える
  2. 転職の目的を明確化し、転職の条件を決める
  3. 入職までのスケジュールを立てる
  4. 情報収集する
  5. 自分に合った方法で求人に応募する
  6. 面接を受ける際は、事前にシミュレーションをしておく
  7. 内定が出たら入職日までに引き継ぎ・退職手続き済ませておく

今後、自分がどういう方向性でキャリアを歩んでいきたいのかを明確にし、転職における必要な条件をピックアップしておくことが求められます。

それぞれのポイントごとに、詳しく解説していきます。

1.今後のキャリアプランを考える

転職で失敗しないためにはまず、今後自分がどういうキャリアを歩んでいきたいかを考えることが大切です。そのために1度、以下のポイントに沿って現在の自分のキャリアを振り返ってみるといいでしょう。

  • 取得している資格や技能
  • 現在の勤務先の環境
  • 日々の診療内容
  • これまで経験した症例
  • 自分に対する周りの評価
  • 医師を志した理由
  • できることなら、やってみたいこと
  • 自分の中で最も誇れること

これらを整理することで、今後目指したい方向が定まり、転職への1歩が踏み出しやすくなります。転職を希望する方は、ぜひ振り返ってみてください。

自分のキャリアを振り返ったうえで、将来のキャリアプランを決めていきましょう。一般的に、医師のキャリアプランとして「医局に入局する場合」と「医局に入局しない場合」でキャリアの構築の仕方に違いがあります。どちらが自分にマッチしているか確認のうえ、転職先を選びましょう。

以下に2つの参考例を紹介します。

医局に入局する場合のキャリアプラン

医局に入局する場合のキャリアプランとしては、主に2パターンあります。1つ目は、大学病院の医局へ入局するパターンです。研修を終えた後の主なキャリアプランの例は、以下の通りです。

  • 3年目:大学病院の医局へ入局
  • 4〜6年目:地方の関連病院でも勤務
  • 7年目:学位授与・専門医取得
  • 8〜9年目:海外留学
  • 10〜11年目:大学病院に講師として勤務
  • 12〜19年目:関連病院にて部長として勤務
  • 20〜24年目:大学病院に准教授として勤務、もしくは関連病院にて副院長として勤務
  • 25年目:大学病院にて教授として勤務、もしくは関連病院にて院長として勤務

2つ目は、市中病院の医局へ入局するパターンです。研修医を終えた後の主なキャリアプランの例は、以下の通りです。

  • 3〜7年目:市中病院の医局へ入局
  • 8〜11年目:専門医取得・医長として勤務
  • 12〜19年目:部長として勤務
  • 20〜24年目:副院長として勤務
  • 25年目:院長として勤務

大学病院に入局するか市中病院に入局するかで、キャリアプランは異なります。専門的な症例を経験して専門医として活動の幅を広げたい、留学等も経験してより深い知見を得たい場合は、大学病院などの総合病院へ入局するとよいでしょう。あるいは、給料などの待遇面を考えて、市中病院に入局する方法もあります。どのようなキャリアプランを設計していきたいかを考え、自分の理想に合った進路を進みましょう。

医局に入局しない場合のキャリアプラン

医局に入局しない場合、以下のような就職先が挙げられます。

  • 開業医
  • 健診医
  • 公衆衛生医師
  • 産業医
  • メディカルドクター

いずれも、医師の資格を活かし、就職可能な職種です。働き方や給与形態など、それぞれの職種で異なります。転職エージェントや友人・知人などに話を聞き、情報収集してみるといいでしょう。

2.転職の目的を明確化し、転職の条件を決める

なぜ自分が転職したいのか、転職の目的を明確にし、転職の条件を決めることが大切です。医師が転職する際の条件としては、主に以下が挙げられます。

  • 勤務内容
  • 休日・休暇
  • 福利厚生
  • 年収
  • 診療科目
  • 勤務地
  • 残業の有無
  • 施設形態(クリニック・病院・企業など)
  • 当直の有無

上記の条件の中で、優先順位を決め、何を大事にするのか明確化させておくことが大切です。特に、結婚・出産などのライフイベントが控えている医師や、ライフイベントの変化によって転職を検討している医師は譲れない条件を固めておきましょう。条件を決めておけば、入職してからのミスマッチを防げます。

3.入職までのスケジュールを立てる

入職までのスケジュールを立て、入職までに必要なことを逆算して考えることも大切です。計画的に行動しなければ、候補となる転職先の募集期限に間に合わず、機会損失してしまうこともあるでしょう。また逆に、引っ越しや結婚などに伴い、慌てて転職活動を行うとで、応募先をよく理解しないまま入職してしまう可能性があります。

「いつまでに、なにをしなければならないのか」を明確にし、着実に行動しておくことが大切です。

特に今の職場を退職する際は、患者の引き継ぎなどやらなければならないことが多く発生します。転職を考え始めたタイミングで、スケジュールの管理をはじめましょう。

4.情報収集する

興味のある転職先に関して、情報収集をしておきましょう。収集する手段としては、以下が挙げられます。

  • 友人や知人
  • 転職希望先で働いている人
  • インターネット
  • 転職エージェント
  • 医療業界の業者(医療機器メーカー・医薬品メーカーなど)

インターネットだけでは、転職希望先の情報は得られません。実際に働いている人の声や、転職希望先のことに詳しいエージェントに相談することで、貴重な情報が得られることもあるでしょう。事前に可能な限り情報収集をすることで、面接の際に有利に進めやすくなることもあります。また、入職後に理想と現実のギャップに苦しむことが少なくなるため、実践しておきましょう。

5.自分に合った方法で求人に応募する

転職先に応募する方法は、複数あります。より自分に合った方法で応募することで、自分に合う転職先に就けるでしょう。具体的な応募方法は以下の通りです。

  メリット デメリット
求人サイトや病院のHPから直接応募する
  • 自分のペースで無理なく活動できる
  • 情報収集に時間と労力がかかる
  • 転職先との労働条件に関する交渉に手間がかかる
医局や知人から紹介してもらう
  • 転職に関する時間と労力が省ける
  • 選考が進みやすい
  • 採用側の信頼度が高くなる
  • 入職後に辞めづらくなる傾向がある
  • 内定を断りづらくなることがある
転職エージェントを利用する
  • 転職エージェントのプロからアドバイスがもらえる
  • 多くの情報が得られやすい
  • 転職先との条件交渉をしてもらえる
  • エージェントの腕によって結果が変わる可能性がある
  • エージェントとのやり取りに手間がかかる
  • 紹介先が限定される可能性がある

応募方法によって、メリット・デメリットが異なります。時間と労力を惜しまず、自分のペースで転職活動したい方は、求人サイトや病院のHPを活用して直接応募するといいでしょう。一方で、時間と労力がかけられない方は、友人・知人からの紹介や転職エージェントを活用することをおすすめします。

求人サイトや病院のHPから直接応募する

自分のペースで転職活動したい方におすすめなのが、求人サイトや病院のHPから直接応募する方法です。応募するタイミングや、転職先とのやり取りに関し、自分のペースで進めたい方はこの方法が適しているでしょう。しかし、情報収集や転職先とのやり取りなど、すべて自分で管理し、行わなければならないため、時間と労力がかかる点がデメリットといえます。

医局や知人から紹介してもらう

医局や知人経由で転職先を紹介してもらう場合、転職先を見つける時間と労力が省けます。こうしたリファラル採用は、採用側の信頼度が高くなるため、選考が進みやすくなる傾向です。一方で、入職後に転職したり、内定を断ったりするのが難しくなるケースもあります。

転職エージェントを利用する

時間に余裕がない方であっても、転職エージェントを利用することで、さまざまなサポートが受けられます。転職エージェントを活用することによって情報提供や先方との条件交渉、面接時のアドバイスなど、多くのメリットがあるでしょう。一方で、エージェントによって結果が変わったり、紹介先が限定されたりする可能性があります。また、エージェントとこまめに連絡を取る必要もあるので、連絡を取るのが億劫に感じてしまうかもしれません。

6.面接を受ける際は、事前にシミュレーションをしておく

面接を受ける際は、事前にシミュレーションをしておくことで、スムーズに進めやすくなります。自己紹介や前職の退職理由、志望動機、今後の展望など、面接時に想定される質問に対し、自分なりの答えを準備しておくことが大切です。

家族や友人・知人、転職エージェントなどに面接官役になってもらい、一通りの流れを練習しておくといいでしょう。

【関連記事】「医師向けの面接対策|転職の際によく聞かれる質問は?解答例と失敗しないコツを解説」

7.内定が出たら入職日までに引き継ぎ・退職手続き済ませておく

内定が出たら、退職の意思を速やかに直属の上司に伝えましょう。もし内定が決まっていない状態で退職の意思を伝えてしまうと、慰留される可能性もあるため、注意が必要です。

また、特に大事なのは、引き継ぎ業務です。後任者がスムーズに業務を継続できるよう、患者や業務内容に関する引き継ぎ資料を作るなどして、引き継ぎ予定の医師や看護師と情報共有をしておきましょう。

また、お世話になった方々に対し、御礼を直接伝えておくことも必要です。これらの積み重ねにより、良い人間関係のまま、スムーズに退職ができるでしょう。

医師の転職動向

厚生労働省が発表している「令和2年職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」と「令和3年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」によると、医師の求職申込件数は増加傾向にあることがわかります。

令和元年度 令和2年度 令和3年度
新規求職申込件数
(有料)
123,015件 140,595件 171,194件
新規求職申込件数
(無料)
359件 351件 379件
常用求人数
(有料)
306,823件 342,695件 442,299件
常用求人数
(無料)
2,537件 2,596件 2,382件

常勤の医師の求人数を表す常用求人数(有料)は令和元年では306,823件であったのに対し、令和2年では342,695件、令和3年では442,299件まで増加しています。

特に、令和2年から令和3年にかけて急激な求人数の増加が見られますが、これには新型コロナウイルス感染症の影響などが関係していると考えられます。令和3年から新型コロナウイルス感染症が5類に移行しましたが、感染者の急増や季節外れのインフルエンザの流行に伴い、受診者が増えることを見越して病院側でも求人を多く出している可能性があるのです。

また、求職者数の増加と求人数の増加によって、医師の転職市場は年々活性化していることがわかります。求人数が増えているため、医師にとっては売り手市場といえるかもしれませんが、キャリアプランや自分が持っている資格・業績をよく考えて転職活動をしていくことが必須です。

参考:厚生労働省|令和2年度事業報告書の集計結果(速報)

厚生労働省|令和3年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)

まとめ

医師が転職時に失敗しないためには、明確なキャリアプランを考え、転職の目的・条件を定めておくことが大切です。今後、自分がどういうキャリアを歩んでいきたいかを考え、転職する際の条件を決めておきましょう。また、入職までに必要なことを逆算し、計画的に行動していく必要もあります。

転職希望先に関する情報に関しては、インターネットだけでなく、友人や知人、転職エージェントからも得られます。さまざまな方法を活用して積極的に情報収集していきましょう。

時間に余裕があり、自分のペースで転職活動したい場合は、求人サイトや病院のHPから直接応募しても問題ありません。一方、時間に余裕がない場合は、知人や転職エージェントの紹介で転職活動することをおすすめします。

とはいえ、どの転職エージェントを活用すればいいのがわからないという人は、「メディカルジョブ」がおすすめです。メディカルジョブでは、転職希望者のニーズをしっかりヒアリングした上で希望の転職先・アルバイト先を提案します。転職するか迷っている方は、転職エージェントにご相談いただくことで、具体的なアドバイスが受けられます。今後のキャリア設計や転職でお困りの方は、ぜひメディカルジョブを活用してみてください。