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【医師向け】退職届の書き方とマナー、病院退職後の医師のキャリアについて解説

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人間関係や激務などで勤め先の病院を退職しても、学会や地域の医療連携などで付き合いは継続せざるを得ないのが医師業界。どんな理由であれ、病院を辞める際は、円満に退職することが大切です。

ここでは、退職の申し出から退職届の書き方、提出の仕方まで、マナーについて詳しく解説します。また、退職後のキャリアの選択肢についてもいくつかご紹介します。

退職届とは

退職届とは、退職することが確定したあとに、労働契約の解除を会社に対して届け出るための書類のことです。

病院に限らず、どんな勤務先でも退職を希望する場合には、雇用契約を解消するための正式な意思表示が必要です。その際、「退職願」「退職届」「辞表」のどれを提出すべきか迷う方もいるのではないでしょうか。これらは、用途や役割が少しずつ異なります。まずはその違いを確認しましょう。

退職届と退職願、辞表の違い

「退職願」「退職届」「辞表」は、それぞれ提出するシーンが違います。それぞれの違いについて、次の表で確認しましょう。

 

役割

退職願

退職したい旨を伝えるための申し出です。ただし、必ずしも書面で提出する必要はなく、「退職をしてもよいでしょうか」と口頭で相談しても構いません。

退職届

勤務先と相談のうえ、退職することが決まったあとに、退職日を書面に記して提出するものです。勤務先によっては規定のフォーマットがあるので、事前に確認しておきましょう。

辞表

病院の場合、理事長や部長、科長などの役職者が任務を辞するときに提出するものです。

ちなみに、辞表を出しても役職を降りただけで、勤務先の病院には継続して勤務しているケースもあります。

退職の意思が固まったら、早めに退職願の準備をし、上司に相談することも大切です。考え直すよう促されて、交渉に時間がかかる場合があることも想定しておきましょう。

勤務先に相談している段階では退職の意思を撤回できますが、よほどの理由がない限り、おすすめできません。退職するということは、場合によっては病院に対して何らかの不満を伝えることにもなるので、撤回した後も以前と同じように人付き合いできるとは限らないからです。お互いに円満な人間関係を継続していくためにも、「退職願」を提出するまでの間に、意思をしっかりと固めておきましょう。

なお、自己都合ではなく、勤務先の都合で退職する場合は、届出る必要はありません。それどころか、退職届を提出してしまうと、失業保険の給付を受ける際に不利な条件になることもあるので気をつけましょう。

退職届の書き方とテンプレート

病院によっては、退職届のフォーマットが決まっているところもありますが、文面としては、退職の意思・理由・退職日を伝える以外の情報は入れない、シンプルなものが一般的です。以下に文例とポイントをまとめたので参考にしてください。

 

ポイント

タイトル

「退職願」「退職届」は、便せんの中央よりやや上(横書きの場合は中央)に書く。

退職理由

どのような場合でも「一身上の都合により」とするのが一般的。退職理由を具体的に書く必要はない。

退職日

年月日は和暦・西暦どちらでもOK。ただし、縦書きの場合は漢数字(一、二、三)を使うのが一般的。

文末

「退職届」の場合には、「退職いたします」で締める。

届出年月日

退職日と同様、和暦・西暦どちらでもOK。縦書きの場合は、漢数字を使用する。

所属部署・氏名

役職名を記載する必要はない。氏名は、所属部署名の次の行の下(横書きの場合は右)に書く。また、捺印のスペースを空ける。

宛名

文末に病院の代表者の役職と氏名を書く。敬称は、「様」あるいは「殿」が一般的。

退職願・退職届の目的は、あくまで、「病院の都合ではなく、本人の希望による退職である旨」を伝えることです。その点が明確になっていればよいので、必要な情報だけをシンプルに記しましょう。

退職届を入れる封筒の書き方とマナー

退職願や退職届を提出する際には、白色・無地の封筒を選びましょう。特に、二重封筒といって、中身が透けないよう、紫色の紙で二重にしてあるものが、ふさわしいといわれています。封筒の書き方やマナーについては以下にまとめたので確認してみましょう。

封筒の書き方

まず、黒インクの油性ボールペンで表面に「退職願」または「退職届」とだけ書きます。次に、裏面の左下に、所属の診療科と氏名を書きましょう。最後に、作成した退職願・退職届を三つ折りにして封入して封を閉じ、「〆」マークを書いたら完成です。

なお、提出する際には、特別な理由がない限り、手渡しすることをおすすめします。その場合は封筒を閉じなくてもOKです。

封筒の入れ方

封筒に手紙を入れる際には、文面を内側にして三つ折りするのが一般的です。手順は、以下の通りです。

まず、文面が正面にくるように置き、縦に三等分するように、用紙の下1/3を上に向かって折ります。次に上1/3を下に向かって折ります。折り目を平行にし、左右の端が重なるように折りましょう。まっすぐ折れる自信がない場合は、定規を使うことをおすすめします。

退職届の提出先

退職届を書く際の宛先は医療機関の代表者となっていますが、実際には直属の上司や人事部に手渡しするのが一般的です。ただし、小さな医療機関の場合は直接代表に渡すのが恒例というケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

なお、どうしても手渡しが難しい場合は、郵送でも問題ありません。その場合には、添え状に手渡しできない理由と謝罪の言葉を入れておくことをおすすめします。

退職届を出すまでの流れ

退職を決めてから、届出をするまでの流れは次の通りです。

退職の意思が固まったからといって、いきなり退職届を提出するのは控えましょう。まずは、直属の上司に退職の意思を伝え、了承を得ることが大切です。医師の場合は、医局人事でローテーションが組まれていたり、患者さんのカルテの引き継ぎがあったりすることもあり、半年前くらいから相談することが望ましいとされています。早いケースでは1年前から伝える医師もいるようです。

退職届を出すタイミングは、病院で定められている就業規則によって異なります。民法第627条第1項では2週間前までに提出すればよいと定められていますが、民法は任意規定と解されるため、労働規約や就業規則に決まりがあるならそれらの規則を優先させることが一般的です。

そのため、事前に勤め先の就業規則を確認しておきましょう。規則の内容が分かりにくい場合は、上長に相談し、明確に把握しておくことをおすすめします。

参照:日本労働組合総連合会

病院退職後の医師のキャリア選択肢

病院を退職したあとの医師のキャリアには、どのような選択肢があるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。例えば、同業種で別の病院へ転職したり、独立・開業したりするほか、まったく別の異業種への転職を検討するのもよいでしょう。

ここからは、医師のさまざまな転職案について、詳しくご紹介していきます。

同業種への転職

まずは、医師免許を有効に活用できる職場への転職です。同業種への転職としては、例えば、研究医、産業医、学校医、健康スポーツ医として働く方法があります。

いずれも、これまでの臨床経験を生かせるので、転職するにあたり、特に準備は必要ありません。また、病院勤務のときと比べると拘束時間が比較的少ないので、激務からも解放されるでしょう。

独立・開業

勤務医を退職し、開業医となる選択肢もあります。病院組織の考え方に捉われず、これまで積み重ねてきた診療経験や知識に基づいて自分の方針で医療を実現していける点で、やりがいを感じられるでしょう。

ただし、開業医は医師であると同時に経営者でもあるため、診療だけでなく、経理や人事、行政手続きまで、すべての業務を担わなければなりません。こうしたメリット・デメリットを視野に入れたうえで、開業すべきかを検討しましょう。

異業種への転職

「医師の仕事に疲れた」あるいは「医師の資格にこだわらず、幅広い業種への転職を検討したい」という方もいることでしょう。そういう人のなかには、医療コンサルタントや弁護士、ベンチャー系企業へと転職した例も見られます。

例えば、医療分野や製薬分野にかかわる医療コンサルタントは、臨床医療の第一線として現場で働いてきた経験を大いに生かせるでしょう。また、医師は最新の医療知識を常にアップデートする習慣が身についているので、弁護士をはじめとした新たな資格にもチャレンジしやすいです。

近年、ヘルスケア分野はベンチャー系企業などによる事業開拓が盛んな分野のため、ベンチャー系への転職もおすすめです。ヘルスケア分野には、医療提供サービス、医療機器の開発、健康管理アプリなどが含まれるので、医師の経験やスキルを大いに生かせます。

一方で、年収ダウンやキャリアダウンは覚悟する必要があります。異業種に転職するということは、一からキャリアを積み直すことでもあるので、転職願望がある場合には、できるだけ若いうちに決断するのがおすすめです。なお、今までのキャリアを維持し、より好条件で転職するためには、医師専門の転職エージェントを頼るのがよいでしょう。

病院を辞める際の退職届に関するよくある質問

ここでは、退職届けの作成や病院を退職する際に出てくる疑問に、まとめてお答えします。

Q.退職届は手書きとパソコンどちらがいい?

A.退職届は、手書きでもパソコンでもOKです。「手書きの方が、気持ちがこもっていてよい」という考え方も、確かに根強く残っていますが、手書きで誤字脱字が目立つのも考えものです。勤め先の病院の規定がなければ、手書きでもパソコンでも、好きな方で作成しましょう。

なお、パソコンで作成した場合は、本人が書いたことを証明するために、捺印や自筆の署名が求められるケースもあります。あらかじめ捺印するか、手書きで署名しておくとスムーズです。

Q.退職届は縦書きと横書きどちらがいい?

A. 縦書きが一般的です。ただ、病院名にアルファベットが入っている場合などには、横書きを指定されるケースもあるようです。なお、横書きの場合は、縦書きとルールが異なるので、事前に確認しておきましょう。

Q.退職届は郵送できる?

A. 退職届は、直属の上司や人事、病院の代表者に直接手渡しするのが基本です。ただ、病気などやむを得ない事情がある場合には、郵送することも可能です。その際には、添え状に手渡しできない理由と謝罪の言葉を入れるのが社会人としてのマナーです。

Q.病院を辞めるときは、いつ・誰に言う?

A. 患者さんのカルテの引継ぎなどもあるため、半年ほど前から勤務先に相談するのが望ましいです。まずは、直属の上司に退職したい旨を伝え、退職日が決まったら、同僚やスタッフにも挨拶しておくことをおすすめします。

ただし、退職したい場合は、申し伝えるタイミングや退職の流れを就業規則で確認し、その規則に従って退職手続きを行うのが基本的な流れなので、そちらもよく確認しておきましょう。

まとめ

医師業界は、勤務先の病院を退職した後も付き合いが継続するものです。円満に退職し、その後のキャリアにつなげることが大切です。ここでは、退職願・退職届の書き方、誰に・どのタイミングで提出するのかなど、退職時のマナーについて徹底解説してきました。退職時の流れやマナーを知っていれば、実際に病院を退職する際にもスムーズに動けます。

また、退職後、新たなキャリアを築くための選択肢についても、いくつか具体例を参考として新しいキャリアを築くきっかけにしましょう。

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