「自身が働く診療科の平均年収はいくらなのか」「自分の年収は平均より高いのか」と気になっている整形外科医の方もいるのではないでしょうか。なかには、転職を考えている人もいることでしょう。
この記事では、整形外科医の平均年収や他の診療科との年収の差を紹介しています。また、整形外科医の方が収入アップする方法もお伝えしているので、転職を検討している方や今の収入に不足を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
整形外科医の平均年収
整形外科医の平均年収は、いくらくらいなのでしょうか。少し古いデータになりますが、2011年の独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、勤務医として働く整形外科医の平均年収は、以下の通りです。現在は、これより増えていると推定されます。
年収 | |
勤務医 | 1289.9万円 |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
整形外科医と他の診療科との平均年収の違いは?
整形外科医と、他の診療科で働く勤務医の平均年収を比較したのが下記の表になります。
なぜ診療科によって年収が違うのでしょうか。理由としては、忙しさの度合いによる部分が大きいと考えられます。当直手当、夜勤手当、残業手当など、長時間労働を反映した手当の多い診療科は、年収が高くなる傾向です。
診療科 | 年収 |
整形外科 | 1289.9万円 |
内科 | 1247.4万円 |
外科 | 1374.2万円 |
脳神経外科 | 1480.3万円 |
小児科 | 1220.5万円 |
産科・婦人科 | 1466.3万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
精神科 | 1230.2万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7万円 |
救急科 | 1215.3万円 |
麻酔科 | 1335.2万円 |
放射線科 | 1103.3万円 |
その他 | 1171.5万円 |
上の表から、整形外科医の年収は、脳神経外科、産科・婦人科、外科、麻酔科に次いで5番目に高いことがわかります。勤務医の中でも整形外科医の年収は、比較的高い部類に入るといってよいでしょう。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
関連記事:勤務医の平均年収は?年齢や診療科、勤務先の規模による年収の違いも解説
整形外科医の働き方
整形外科医として働く場合、勤務する医療機関は以下のように大きく2つに分かれます。
メリット | デメリット | |
総合病院・専門病院 | 幅広い症例を扱い、高度なスキルが身につく | 救急対応や当直などで、長時間労働になりやすい |
クリニック | 地域住民に寄り添った診療が行える | 高度な手術のスキルは身につかない |
病院とクリニックは、同じ医療機関でも役割が異なります。病院は地域の中核病院として、専門的かつ高度な医療を行うのに対し、クリニックは診療所とも呼ばれ、地域に密着した診療を行うという区分がなされています。
総合病院・専門病院
医療法において、病院は以下のように定義されています。
- 医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所であって、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
引用:医療法第一条の五
つまり、20床以上の病床を持つ医療機関を病院と呼ぶのです。また、病院の中でも、200床以上の病床を持つ医療機関を地域医療支援病院、400床以上で特定機能病院、臨床研究中核病院という区分が設けられています。
これに対し、専門病院についての明確な定義はありませんが、特定の疾患の診療に特化した病院であるとされています。整形外科専門病院であれば、整形外科専門医が在籍し、手術、入院、リハビリまで可能な施設を有している病院です。
このような規模の大きい病院や専門病院で働く整形外科医は、多くの症例を経験できるほか、専門医の資格を持つ指導医からアドバイスを受けたり、研修や勉強会も多く開かれたりするなど、スキルアップしやすい環境にあることがメリットです。
デメリットとしては、クリニックと比べると夜勤や当直が多く、プライベートな時間を確保しにくいことが挙げられます。
前述の通り、整形外科の勤務医の平均年収は1289.9万円でした。総合病院・専門病院で働く際は、夜勤や当直手当が多くなる分、これよりも多くなると推定されます。
参照:厚生労働省|地域医療支援病院に係る基準について
参照:厚生労働省|特定機能病院について
参照:厚生労働省|臨床研究中核病院の医療法での位置づけについて
クリニック
クリニックは診療所とも呼ばれ、小規模な医療機関を指します。具体的には、病床を持たないか、19床以下の病床を有する医療機関です。
整形外科医がクリニックで働く場合、軽度な症例や地域の慢性患者を診ることが多くなります。自院ではできない手術や重症症例は、病診連携といって連携する病院で行うことが多くなります。
メリットとしては、病床を持たないクリニックの場合は、夜勤や宿直もなく、決まった診療時間に勤務するだけでよいため、ワークライフバランスの取れた働き方ができる点です。
デメリットとしては、軽症や慢性症例、リハビリテーションを扱うことが多いため、先進的な医療や高度な医療を追求し、キャリアアップを目指す医師には向かないといえます。
開業医を除くクリニックに勤務する整形外科医の年収は、夜勤や当直手当が少なくなる分、前述の平均年収よりもやや下がると考えられます。
整形外科医が年収を上げるには
整形外科医が年収を上げるには、具体的に以下3つの方法があります。
- アルバイトをする
- 開業する
- 転職をする
アルバイトをする
現在働いている医療機関が副業を認めていれば、研究日などを利用して、他の医療機関でアルバイトをすることができます。医師のアルバイトとは、一日あるいは一定の時間だけ、単発で勤務することです。仕事内容は、健康診断、長期休暇をとっている医師の代診、ワクチン接種、当直などが挙げられます。
医師のアルバイトの平均時給は、10,000円前後といわれています。時給や日給が高めに設定されていることが多いため、空いた時間を有効活用して収入を得ることができるでしょう。
研究日がない医療機関に勤務していたり、副業が禁止されていたりしなければ、アルバイトを募集している医療機関も多いので、比較的チャレンジしやすい方法といえます。
関連記事:医師は副業できる?おすすめの副業や注意点を徹底解説
開業する
勤務医を辞めて、自分のクリニックを開業することは、医師にとっての一つの夢かもしれません。
勤務医と開業医の年収を単純に比較はできませんが、開設したクリニックが経営的に軌道に乗れば、開業医のほうが稼げると一般的にはいわれています。
勤務医の手取りは、額面の年収から所得税、住民税、社会保険料(健康保険、年金、雇用保険など)を引いたものになりますが、開業医の場合は、診療などで得た収益から、経費(人件費、医薬品費、原価償却費など)や、銀行などから借りた資金の返済金、税金などを除いた収支の差額が手取りになります。
開業医の場合、経費のやりくりや節税次第で手元に残るお金を増やせることが、勤務医との大きな違いです。また、開業医はクリニックが繁盛すればするほど儲かる仕組みですが、勤務医の場合は昇給規定通りにしか年収は上がりません。
整形外科のクリニックを開業するメリットは、高齢化社会の到来によって、高齢者の骨折が増えたり、膝関節や股関節の痛みを訴える患者が増加していたりと、整形外科に対するニーズが増えていることが挙げられます。また、リハビリテーションは利益率が高いといわれていることもメリットの一つです。
デメリットとしては、他の診療科目に比べて治療や検査、リハビリなどに必要な医療機器の購入やスペースを必要とするため、開業資金が多めに必要になることです。
ただし、開業にあたっては、銀行からの融資を含め、開業資金調達やスタッフの採用、物件探しなど多くの手間と時間がかかります。また事業を継続していくには医師としての能力だけでなく、経営者としての能力も求められますので、難易度は高めになります。開業を支援してくれるサービスもありますが、サービスを受けたからといって事業が成功するとは限らないので注意しましょう。
転職をする
現状の年収に満足できていない場合は、より高収入が見込める医療機関に転職するのも一つの方法です。
どれくらい年収が上げられるかは、現在どのような医療機関で働いているかによって異なります。また、医師不足に悩む地方への転職では、年収面以外に住居費や生活費が抑えられるといったメリットも考慮したい点です。
転職を検討している場合は、転職エージェントを利用すれば、収入面も含めて希望に沿った医療機関を紹介してくれます。ぜひ活用してみましょう。
まとめ
今回は、整形外科医の平均年収や、働き方、年収アップの方法について紹介してきました。
転職やアルバイトで年収アップを検討している方は、転職エージェントの活用をおすすめします。なかでも、医師の転職・アルバイトに豊富な実績を持つ「メディカルジョブ」なら、キャリアアドバイザーが医師の皆さまのニーズを汲み取り、最適な医療機関の紹介から面接への同行、転職後のフォローまで行ってくれますので、ぜひご登録ください。