内科医として働いている人の中には、年収をもっと上げたい、いまの年収は平均的なの?などとキャリアや年収に関する疑問をお持ちの方もいるでしょう。
この記事では内科医の平均年収、年齢や勤務地による年収の違い、さらに他の診療科との比較、そして年収を上げるための具体的な方法について、詳しく解説しています。内科医としての年収を上げたい方、キャリアパスを計画したい方、転職・アルバイトを考える方はぜひご覧ください。
内科医の平均年収は 約1,247万円
労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、内科医の平均年収は1,247.4万円です。
なお、厚生労働省が行った「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、全診療科の医師の平均年収は1,378.3万円です。内科医の平均年収はやや下回りますが、比較的全診療科の平均年収に近い診療科目であるということがいえるでしょう。
【年齢別】内科医の平均年収
ここからは、内科医の平均年収を年齢別にご紹介します。
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1,000万円未満 | 1,000万円以上~1,500万円 | 1,500万円以上~2,000万円 | 2,000万円以上 |
20代 | 25% | 50% | 25% | 0% |
30代 | 7% | 48% | 39% | 6% |
40代 | 2% | 27% | 57% | 14% |
50代 | 2% | 21% | 59% | 19% |
60代以上 | 6% | 28% | 50% |
16% |
参照:リクルートドクターズキャリア:一般内科の年収事情
上表から、年齢を経るにしたがって高収入の層が増えることが分かります。20代では年収1,000万円未満も多いですが、これは卒業後に研修期間があるほか、医師としての経験・スキルが不足しているためです。
実際に、30代以降は年収1,000万円以上の割合が増え、年収1,000万円未満は10%未満となります。
さらに30代以降は年収2,000万円以上の割合も増えますが、その理由としては病院内で一定のポストに就いたり、開業するケースが増えてくるためと推察されます。
このような理由から、60代以降も高収入を維持し続けている傾向です。
【勤務地別】内科医の平均年収
ここからは、内科医の平均年収を勤務地別にご紹介します。
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1,000万円未満 | 1,000万円以上~1,500万円 | 1,500万円以上~2,000万円 |
2,000万円以上 |
北海道・東北 |
12% | 0% | 72% |
16% |
関東 |
3% | 30% | 55% |
12% |
関西 |
2% | 34% | 51% |
13% |
中部 |
33% | 3% | 43% |
20% |
中国・四国 |
29% | 5% | 62% |
5% |
九州・沖縄 | 15% | 32% | 32% |
22% |
参照:リクルートドクターズキャリア:一般内科の年収事情
関東・関西は、平均年収の分布がほぼ同じです。
一方、関東・関西と比較して、それ以外の地域では特徴的な分布が見られます。
例えば、「年収1,500万円以上~2,000万円」の割合は北海道・東北がトップ、次いで中国・四国となっており、「年収2,000万円以上」の割合は九州・沖縄、中部が20%以上です。
このような分布から、医師の数が限られる地域では医師1人あたりの医療負担が増え、それに伴って高収入の傾向となるほか、医師の確保が困難なため好条件が提示されやすいことが推察されます。
内科医と他の診療科との平均年収の違いは?
内科医と他の診療科との平均年収の違いを、以下表でご紹介します。
診療科 | 年収 |
内科 |
1,247.4万円 |
外科 | 1,374.2万円 |
脳神経外科 | 1,480.3万円 |
産科・婦人科 | 1,466.3万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 |
1,078.7万円 |
参照:独立業生法人 労働政策研究・研修機構|勤務医の就労実態と意識に関する調査
調査では、最も平均年収の高い診療科は脳神経外科で、最も平均年収の低い診療科は眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科でした。
脳神経外科の年収が高い理由としては、一刻を争う治療に対応するケースが多いことが考えられます。
一方、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科は緊急性の高い治療のケースは少ないと考えられ、それが年収に影響をしていると推察されます。
内科はその中間程度の年収ですが、診療科によって年収におよそ400万円もの差が出ていることが分かります。
内科医の働き方
内科医は、施設ごとにさまざまな働き方があります。
内科医の勤務先となる施設と、各施設のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
有床の医療機関 | 高めの給与水準が期待できる | 忙しいためワークライフバランスが確保できない可能性がある |
無床の医療機関 | 当直・オンコールがなく、ワークライフバランスの取れた働き方ができる | 給与水準が低めとなる可能性がある |
介護保険施設 | 有床施設と比較して、ワークライフバランスの取れた働き方が期待できる | 施設によっては、オンコール対応や日当直が業務に含まれる |
健診センター | 勤務時間が決まっており、ワークライフバランスの取れた働き方ができる | 給与水準が低めとなる可能性がある |
ここからは、施設ごとの内科医の働き方について詳しく見ていきましょう。
有床の医療機関
有床の医療機関とは、入院患者の受け入れが可能な医療機関です。入院患者と外来患者の両方を受け持ちます。
業務にはオンコール対応・当直・入院患者の管理ほか、待機当番などが含まれるケースもあり、比較的忙しい職場ということができるでしょう。
そのため、職場によってはワークライフバランスが取りづらい可能性も考えられます。
一方、日当直や時間外勤務に対しては手当てが支給されるため、高めの給与水準が期待できます。
無床の医療機関
無床の医療機関とは、入院患者の受け入れ設備のない医療機関です。外来診療・日帰り手術などがメインとなりますが、施設によっては往診を実施するケースもあります。
当直やオンコールがないため、比較的ゆとりのある勤務が可能です。そのため、育児と仕事を両立したい方や、ワークライフバランスを重視したい方などに適しているといえるでしょう。
一方 時間外手当・当直手当などがないため、院長職などの役職採用などでない場合は、給与水準が低めとなる可能性があります。
介護保険施設
介護老人保健施設とは、介護が必要な方をサポートする施設です。
介護保険サービスで利用可能な公的施設としては、特養(特別養護老人ホーム)・老健(介護老人保健施設)・療養病床(介護療養型医療施設)などが挙げられます。
業務は、利用者の健康管理・急変や看取りへの対応がメインで、 有床の医療機関よりもワークライフバランスの取れた働き方が期待できます。そのため、セカンドキャリアを考えるベテラン医師からの人気も高いです。
介護保険施設には、医師の配置が義務付けられており、今後のさらなる高齢化の進行を考えると常に一定数のニーズがあると考えられます。
一方、施設によってはオンコール対応や日当直が業務に含まれるため、募集条件は事前にしっかりとチェックしてください。
健診センター
健診センターは、健康診断や人間ドックを実施する施設です。予防医療に関わる診断・検査が主な業務となります。健康診断シーズンの単発のアルバイトとして勤務できるほか、健診センターでは常勤勤務も可能です。
健診センターは勤務時間が決まっており、当直もないことから、ワークライフバランスの取れた働き方が期待できます。
一方、 ニーズのある専門スキルを持たない場合は、給与水準が低めとなる可能性があります。
内科医が年収を上げるには
内科医が年収を上げる方法には、以下3つの方法があります。
- アルバイトをする
- 開業する
- 転職をする
ここからは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
アルバイトをする
現在の職場で働きながら、副収入を得る方法です。内科医のアルバイトとしては非常勤として働くほか、医療相談の対応、医療記事の執筆・監修などが考えられます。
仮に、健診のアルバイトを月に2回(1回60,000円と仮定)実施した場合、144万円ほど年収を増やすことが可能です。
なお、本業との両立は求められるものの、内科医のニーズは高いため、アルバイト求人も比較的見つけやすいでしょう。
開業する
開業とは、自分のクリニックを開くことです。
内科医としての経験・スキル・ノウハウ・専門医資格などを活かし、理想とする医療の提供や働き方が可能となります。
経営状況にもよりますが、 開業医は勤務医と比較して高い年収が期待できます。
ただし、開業に際しては、初期投資、ビジネス運営のノウハウ・スキル、医療面でのネットワークなども求められるため、 難易度は比較的高めということができるでしょう。
転職をする
一般企業では給与の高い職場・条件の良い職場へ転職する方も増えていますが、医療界も例外ではありません。
例えば「大学病院から民間病院への転職」「都心から医師不足地域への転職」などによって、年収を上げることも期待できます。
転職先の給与水準や役職によりますが、年収が数百万円ほど増加する可能性もあります。
ただし、良い転職先を見つけるためには、募集条件を精査した上で他の候補とよく比較検討することが重要です。
まとめ
内科医の平均年収は、全診療科の医師の平均年収は、約1,247万円です。年齢が上がるにつれて高収入の層が増え、また、特定の地域では医師の数が限られるために高収入の傾向が見られます。
現状よりも年収を上げる具体的な方法として、開業するほか、転職・アルバイトをする方法もあります。
なお、条件に合う転職・アルバイトの求人探しには医療向けエージェントの利用が便利です。
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