「オンコールの少ない職場に転職したい」
「オンコール中の待機時間が負担」
このような悩みを抱えている医師もいるのではないでしょうか。オンコール待機中は比較的自由に過ごせるものの、いつ呼び出されるかわからないことで精神的なストレスを感じる方も多いでしょう。
この記事を読めば、オンコール待機中の過ごし方や、オンコールの実態についてわかります。オンコールの少ない職場の特徴についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
医師のオンコールとは
医師のオンコールとは、患者の急変や救急搬送で人手が必要になった際に、勤務時間外であってもすぐに対応できるよう待機することです。
ここでは、病院におけるオンコール体制について厚生労働省が発表している「勤務医に対するアンケート調査の結果について」の情報を参考に紹介します。
医師のオンコールの勤務時間
医師の当直やオンコールの勤務時間は20代の医師で最も多くなり、年代が上がるにつれて減少する傾向にあります。
厚生労働省が発表している「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によると、具体的な週の当直・オンコール勤務の時間は、20代の医師を例にすると男性で18.8時間、女性で約13.0時間です。このうち、待機時間は男性で16時間、女性で12時間です。
また、オンコールの勤務時間は診療科によって大きく差があります。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、オンコールの回数が多い(月に4回以上)診療科には次のようなものが挙げられます。
診療科 | 月に4回以上オンコール出勤する割合(%) |
脳神経外科 | 36.7% |
産科・婦人科 | 31.3% |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 30.9% |
外科 | 29.0% |
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|勤務医の就労実態と意識に関する調査|図表 7-3:診療科別にみたオンコールの状況と月当たりのオンコール出勤回数(単位=%)45P
上記の診療科では急変や急患が多いため、オンコールの頻度が高い傾向にあります。また、実際にオンコールで呼び出された際には手術や出産などの時間を要する対応が必要になるため、出勤時の稼働時間も長くなりやすいでしょう。
医師のオンコールにおける報酬や手当
オンコール対応における報酬は医療施設によってさまざまですが、オンコール対応1回につき「待機料」として5,000円程度の手当が出ます。
またオンコール待機中に呼び出しがあった場合の手当については、1回の対応につき1〜3万円程度の定額の場合や、稼働時間や業務内容(手術や出産対応など)に合わせて支給される場合もあります。
オンコール手当が時給換算で支給されることはほぼないため、報酬は当直手当よりも低くなる傾向にあるでしょう。
医師のオンコールがあった際の業務内容
医師のオンコールがあった場合、診療科によっても異なりますが、主に当直医のみでは対応できないような症例の対応や緊急手術といった業務をおこないます。
呼び出しがあった際には迅速に対応する必要があるため、オンコール待機中は入浴時やトイレの際にも連絡に気づけるよう、携帯電話を常時手元に置いて置くことが重要です。
オンコールの待機中の医師の過ごし方
オンコール待機中の医師の過ごし方はとくに決められていませんが、休日ではないため、ある程度制限があります。
- 勤務先の規定内であれば自由に過ごせる
- 連絡が取れ、すぐに勤務できる状態であることが重要
オンコール待機中は自由に過ごせるものの、入浴時でも携帯電話の音を聞こえるようにしておく必要があったり、勤務先の病院の近くにいる必要があったりと、完全な休日とはいえません。
勤務先の規定内であれば自由に過ごせる
完全なプライベートの時間とはいえないものの、自宅でゆっくりしたり、買い物や外食をしたりと、ある程度は自由に過ごすことが可能です。
ただし、呼び出しがあった場合は勤務先の規定に基づいた時間内に駆けつける必要があるため、遠出の旅行や、オンコール連絡に気づけないような過ごし方はできません。
いつでも連絡にすぐ気づけるように、「電波が悪い場所にとどまらない」「入浴時やトイレに行く際には携帯電話を持ち込む」といった工夫も必要です。
連絡が取れ、すぐに勤務できる状態であることが重要
オンコール待機中は常に電話に出られる状態で過ごし、呼び出しがあれば必要に応じてすぐに出勤する必要があります。
そのため、オンコール待機中の過ごし方としては、美容院でのカラーやパーマ、マッサージ店での長時間の施術などは向いていないでしょう。
また、映画館での映画鑑賞やコンサートでは携帯電話の電源を切る必要があり、急な連絡に対応できない可能性があるため避けたほうが無難です。オンコールで呼び出された際には迅速な対応が求められるため、待機中の飲酒も避けましょう。
働き方改革で医師のオンコールの過ごし方に変化はある?
医師の働き方改革が進むなかで、オンコールに関する代償休息の確保や報酬体系の見直しなど、オンコール制度が大きく変わる可能性があります。しかし、オンコールと医師の働き方に関する課題はいまだ残っている状態です。
現状、オンコール待機中は病院外で比較的自由に過ごせることから、すべての待機時間を勤務時間に含めることは難しいとされています。そのため、「待機時間が労働時間に該当するかどうか」については、どの程度迅速に勤務先へ駆けつける必要があるのかといった、待機中の活動制限度合などを考慮し、各医療機関が判断することとされています。
現在勤務する病院のオンコール対応に負担に感じている場合は、オンコール対応がない、もしくは回数が少ない病院への転職も検討するとよいでしょう。
参考:厚生労働省|医師の働き方改革に関する FAQ(2023年6月7日ver.)
オンコールが少ない職場はある?
オンコールが少ないといわれる職場には、主に次のようなものが挙げられます。
- 慢性期病院
- 内科や精神科、眼科、皮膚科など
- 所属する医師数の多い病院
- 急患対応をおこなっていない小規模のクリニック
慢性期病院の患者や、内科や精神科などの患者は比較的急変が起こりにくく少ないため、オンコールの呼び出しがかかりにくいと考えられます。また、所属する医師数の多い病院で働く場合や、非常勤やパート勤務で働く場合も、オンコールの頻度が少ない傾向にあるでしょう。
また、急患対応をおこなっていない小規模のクリニックに勤める場合や、産業医や健診医などとして働く場合は、オンコール対応が求められることはほぼないといえます。
オンコールの負担が大きいと感じる場合は転職も検討しよう
現在勤めている職場のオンコールの負担が大きいと感じる場合は、転職も視野に入れることがおすすめです。上述したとおり、病院の規模や担当する診療科などを考慮すれば、オンコールが少ない職場ではたらくことが可能でしょう。
転職を検討している方には、医師の転職やアルバイトの情報に特化した「メディカルジョブ」がおすすめです。メディカルジョブでは、転職を希望される医師一人ひとりのニーズに合わせた求人情報を提案しています。
オンコールで感じる負担が大きく、オンコールの少ない職場に転職したい方は、ぜひ「メディカルジョブ」を利用してみてください。
まとめ
この記事では、オンコール待機中の医師の過ごし方や、オンコールの実態、オンコールの少ない職場の特徴などについて紹介しました。
オンコール待機中は完全な休日とはいえないため、職場の近くで過ごしたり、常時連絡に気づけるように工夫したりする必要があります。オンコール制度に関しては、医師の働き方改革によって見直されつつあるものの、いまだ課題が残る状況です。
オンコールが少ない職場ではたらきたい方は、転職を検討することもひとつの方法でしょう。オンコールによる時間的な拘束やストレスを減らしたい方は、ぜひ「メディカルジョブ」で理想の勤務環境や年収を叶えられる求人を探してみてください。